産学官連携の「高オレイン酸大豆」

佐賀大学で長年研究開発されてきた非遺伝子組換え高オレイン酸大豆「佐大HO1号(サダイエイチオーイチゴウ)」。

現在は佐賀大学、九州大学、(株)森光商店、JA、佐賀県、武雄市、生産者、各種メーカーなど
産学官連携で産地育成・販売普及に取り組んでいます。

海外では、カナダにて「佐大HO1号」をもとにその地に合った品種に改良。
2015年に高オレイン酸大豆「ALINOVA」として大規模栽培が始まり、今後入荷量を増加していく予定です。

佐賀大学 農学部

国産高オレイン酸大豆「佐大HO1号」は、佐賀大学農学部にて前任者の高木教授から研究を引き継ぎ、累計40年以上の期間を費やして完成したものです。
世界的に大豆は搾油原料として利用されることが多く、大豆油の「油質改良」を目的として、酸化しやすいリノール酸を減らし、酸化安定性の高いオレイン酸を増やすことを目標にして研究を進めました。
その結果、遺伝子組換え技術を使うことなく、2つの新たな突然変異遺伝子を組み合わせることにより、通常の大豆には20%程度しか含まれないオレイン酸を約80%にまで増加させる方法を発見し、2009年には国際特許も取得しています。
また、リノール酸が減少したことにより、大豆独特の青臭みも抑えられており、加熱による油分の酸化も少なく、オレイン酸に由来する機能性を持つ加工食品原料としての可能性が期待されます。

九州大学 農学研究院 (前佐賀大学 農学部)
穴井 豊昭 教授

株式会社森光商店

弊社では昭和50年代、九州産大豆の数はまだまだ少ない時代から、国産大豆の販売に力を入れていました。
国産大豆を育てたいと、当時佐賀大学の高木教授の大豆の育種の研究へ協力を始めました。
市場で好まれる「白目」の開発、また大豆臭・酸化の少ないオレイン酸含量の高い大豆の研究の中、いくつかの品種が出来上がりましたが、実際に栽培してもうまく育たない、オレイン酸含量が50%まで出たが数値がぶれる、という紆余曲折の報告に一喜一憂。
高木教授から穴井教授へと研究が引き継がれた後、白目+オレイン酸含量80%の安定化ができたとの報告を受けた時には、大変嬉しく感じました。
佐賀県武雄市での栽培開始とともに、大規模栽培へ向けてカナダにてその土地に合った品種への改良も進めました。
現在は全国の大豆加工食品メーカーへ商品開発の協力を依頼し、商品化を進めている最中です。
今後は収量をさらに増やし、様々な大豆加工食品として市場拡大を目指しています。

株式会社森光商店
取締役社長 森光 栄一

佐賀県武雄市

武雄市では、「佐大HO1号」の種子栽培から本格栽培までを先進的に取り組みました。
元々、市内では「フクユタカ」という品種の大豆を栽培していましたが、より付加価値の高い大豆による生産者の所得向上を目指し、「佐大HO1号」を市内全域の大豆圃場の約半分に作付け面積を拡大して生産しています。
2017年から種子栽培を開始し、2020年には、佐賀県、JA、生産者と共に「高オレイン酸大豆武雄振興会」を設立し、高オレイン酸大豆の安定生産と生産支援強化に取り組んでいます。
2021年には、市内事業者の「佐大HO1号」を使った商品化を支援しました。
現在は、積極的に商品開発、販路開拓に取り組まれる加工事業者のブランド化のサポートを行っています。

佐賀県武雄市 商工観光課・農林課